人の命に限りがある以上、どなたのご家庭でも必ずいつかは行うのが 『御葬儀』 です。
その時になって何も知らない、何も心構えがないと慌てたり、
また周りに迷惑をかけたりしがちです。
生を真剣に考えるという事は 「死」 を考えるという事にも通じるものです。
葬 列
出棺の挨拶が終りますと霊柩車は火葬場へ向かいますが、これがいわゆる「葬列」で、 かつては「野辺送り」といいました。
野辺送りは本来、ご遺体と同時に霊魂をも送る儀式であり、 魂が再び家に戻ってくるのを妨げるためにさまざまな儀礼を行いました。
● 同行者の範囲
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火葬場へ行くのは、遺族、近親者などの身内か、ごく親しい友人というのが普通です。
昔は、親が子を弔う場合や、夫が妻に先立たれた時には、「逆縁」つまり、死ぬ順序が違っているとして、火葬場へついて行かない風習がありましたが、今日ではこだわらないようです。
火葬場に同行する人々は、前もって決めておきます。
● 火葬場へ向かう車の順序
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火葬場へは普通、何台かの車に分かれて出発します。
- 霊柩車が先頭に立ちますが、これには棺と位牌を抱いた喪主が乗ります。
- 1号車には遺族代表が遺影とともに乗ります。
- 以下、故人と血縁の近い順に遺族、親族、友人、知人などが乗った車が2号車、3号車とつづきます。
- 車内での席順は、後部座席の右に遺族代表、つづいて血のつながりの近い順に後部中央、助手席となります。
- マイクロバスの場合は、運転席の後ろに喪主、その隣に遺族代表、以下、遺族、近親者と順にすわります。
● 火葬場へ持っていくもの
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- 死亡届を提出した時にもらう「火葬許可証」を必ず持参します。これがないと、ご遺体を火葬する事ができません。
- 火葬場に行って「火葬許可証」を提出しますと、火葬がすんだ後で、その日付を記入してくれます。
これが遺骨の「埋葬許可証」となりますから、その時まで大切に保管します。
- 火葬には1〜3時間くらいかかります。
- 都市部の火葬場では、売店や喫茶室などの設備もあるので、そこを利用する事もできます。
● 火葬場
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- 火葬場に到着しましたら、受付で「火葬許可証」を提出します。
- 火葬場の係員の指示に従って、棺を霊柩車からおろし、かまどの前に棺のまま安置します。
- かまどの前の小机の上に位牌、遺影、香炉、生花、燭台、供物などを飾ります。
- これらの祭具は、火葬場で用意してありますので、位牌と遺影だけ持参すればよいでしょう。
- この祭壇の前で「納めの式」が行われます。
まず、僧侶が最後の読経と焼香をし、次に喪主、遺族、近親者の焼香につづいて、同行者一同が焼香、合掌、礼拝します。
最近は、僧侶の読経を省略することが多くなっていますが、この場合は、すぐに喪主から順に焼香をします。
- 一同合掌のうちに棺はかまどの中におさめられ、点火されます。
- 火葬にかかる時間は1〜3時間くらいですが、点火のあとは、火葬が終了して骨あげの知らせがあるまで待ちます。
● 骨あげ
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- 火葬がすみますと、一同は再びかまどの前に集まって「骨あげ」をします。
- 本来は竹と木で一対にした箸を使い、人から人へ箸渡しで骨壷におさめるのがしきたりです。しかし、現在では、竹の箸を使い、二人で一つの骨をはさんで骨壷におさめます。
- 遺骨を拾う順序は、故人と血のつながりの近い遺族、近親者、友人の順に二人一組になって行います。
- 遺骨は足の骨から順に、上半身の部分へと拾い上っていきます。一、二片拾ったら、箸を次の人に渡します。
- お舎利とよばれる「のど仏」は、故人と最も血のつながりの近い二人が最後に拾います。これで、骨壷の中で足が下に、頭骨とのど仏が上になって、納まるわけです。
- 遺骨を分骨したい場合には、前もって葬儀社に伝えておきますと、分骨用の小さな骨壷が用意されます。
- こうして主な骨を拾い上げますと、残った骨は係員が骨壷におさめ、白木の箱に入れて白布で包んでくれますから、それを喪主が両手でかかえ持ちます。
- 火葬後に受付で埋葬許可証の証明を受けます。
- 位牌と遺影を持って、来たときと同じ車に分乗して帰ります。ただし霊柩車はついて来ませんので、喪主は別の車に乗り換えます。