人の命に限りがある以上、どなたのご家庭でも必ずいつかは行うのが 『御葬儀』 です。
その時になって何も知らない、何も心構えがないと慌てたり、
また周りに迷惑をかけたりしがちです。
生を真剣に考えるという事は 「死」 を考えるという事にも通じるものです。
葬儀の準備
葬儀、告別式は、通夜の翌日に行われます。
葬儀は導師によって故人をあの世へ送る儀式であり、 告別式は、生前親交のあった人たちが最後の別れを告げる儀式です。
最近の一般家庭では、葬儀のあとすぐに、引きつづいて告別式を行うことが多いようです。
● 打ち合わせ
- 葬儀、告別式は、故人への別れを告げる儀式であると同時に、たくさんの人が一定の場所に集中して営まれます。
そのため故人を供養するのにふさわしい内容にするとともに、時間どおりに進行するように段取りをしなければなりません。
そのためには、事前にこまかい打ち合わせをして、落ち度のないように準備をする必要があります。
- 通夜に先立って、世話役代表と各世話役を選び、それぞれの係の分担を決定します。
- 喪主は葬儀前日に、各世話役や葬儀社の人と式進行および葬儀後の初七日法要についても打ち合わせをします。
● 打ち合わせる内容
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- 弔辞の依頼先と内容
- 弔電披露の範囲
- 焼香順位
- 喪主のあいさつ
- 棺を運ぶ人
- 火葬場に同行する人と乗車番号
- 初七日法要に出席される人数
● 式場の整備
- 式場の飾りつけや、式場周辺の設営は葬儀社が行いますが、世話役や遺族の人も一応、祭壇の飾りつけや、控室の準備などを施主側から見て手落ちがないように心を配らなければなりません。
- 供物・供花の配置
- 線香・ローソクの燃焼の確認
- 座布団の用意や弔問客の祭壇への案内・接待等が継続して必要です。
● 席順、焼香順を決める
- 自宅で行う葬儀、告別式の遺族の席順や焼香順は通夜の時と同じです。
- 葬儀と告別式が分かれている大規模な葬式では、祭壇に向かって右側に喪主、遺族、近親者、左側に世話役代表や葬儀委員長、友人、知人、職場関係者などが着席し、告別式が始まりますと左右にいた人たちは中央通路をはさんで向き合う形となります。
そしてこの中央を、一般会葬者の方々が焼香に進み出る形をとることがあります。
- あらかじめ遺族や会葬者の焼香順位を決めておいて、司会者が氏名を呼び上げることもあります。
● 火葬場へ同行する人の確認
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- 火葬場へ随行するのは、遺族、近親者などの身内か、ごく親しい間柄の人というのが普通です。
- そのほか随行を希望する人に前もって確認しておき、必要な台数の車を手配します。
- 同行する方が多い時は、あらかじめ車に番号をつけて、随行者に番号札をお渡ししておきます。
- 僧侶にかまどの前での読経をお願いする場合には、僧侶も同行人数に加えます。
● 心づけの準備
- 葬儀当日、お世話になる人達に渡す「心づけ」は葬儀の前に準備しておきます。
- 心づけの必要な人は、霊柩車や送迎用のハイヤーとかマイクロバスの運転手、火葬場のかまどの火夫や休憩室の接待係などです。
- 心づけの相場は、葬儀の規模や地域によっても異なります。
- お金は小さい不祝儀袋や白い封筒などに入れて、表に「志」「心づけ」などと記しておきます。
葬儀の進行
葬儀、告別式の式次第は、宗派や式の規模によって多少異なりますが、一般的には次のような順序で行われます。
● 葬 儀
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- 遺族、参列者着席
- 開式の辞
- 僧侶入場
- 読経
- 弔辞、弔電の奉読
- 読経
- 遺族、近親者焼香(読経中)
- 僧侶退場
- 閉式の辞
● 告別式
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- 僧侶入場
- 開式の辞
- 読経
- 参列者焼香(読経中)
- 僧侶退場
- 閉式の辞
葬儀と告別式を区別しない場合は、葬儀の後、僧侶の合図に従って一般参列者の焼香を始めます。
また遺族、近親者の焼香に引きつづいて、参列者も焼香して告別式をすませることもあります。
● 遺族、参列者の着席
- 通夜の席と同じように
- 祭壇に向かって右側が遺族席、前列の中央寄りが喪主の席です。
- 世話役と友人、知人など一般参列者は左側に着席します。
- 遺族、近親者は式が始まる10分くらい前までに着席するようにします。
- 焼香も通夜と同様にこの順序で行います。
● 開式の辞
- 司会者の開式のあいさつによって、葬儀が始まります。
「本日はご多忙中のところを、ご臨席いただきましてありがとうございます。
ただいまより、故○○殿の葬儀、ならびに告別式を執り行います」
といった意味のあいさつをして、式に入ります。
● 僧侶入場
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- 参列者が着席したのを確かめてから、世話役が僧侶を式場へ誘導します。
- 僧侶が見えたら、一同頭を下げて迎えます。
- 椅子席の場合は、全員起立して一礼したあと、僧侶が祭壇前に着座されてから着席します。
● 読 経
- 死者の冥福を祈り、浄土に往生する事を祈願して、僧侶による読経が行われます。
読経の時間は、宗派や葬儀の規模にもよりますが、30〜40分ぐらいです。
禅宗などでは、この読経の際に、死者を悟りの世界に導く「引導」が渡されます。
● 弔辞、弔電の披露
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- 司会者があいさつをして、弔辞をお願いする方を次のように呼び上げます。
「ただいまより弔辞を頂戴いたします。 始めに、○○殿お願いいたします」
- 弔電は時間の都合で、全部の方に読んでいただけないときには、姓名だけを呼び上げて、あとは省略します。
- そのあと「弔電を奉読させていただきます」と述べて弔電奉読に入ります。
- 弔電は届いたものを、せいぜい2、3通を読み上げるのが普通で、後は
「ほかに○○通ちょうだいいたしておりますが、時間の都合もありますので、お名前だけ紹介させていただきます」
と、お断りして姓名や職場団体名を読み上げます。
● 遺族、近親者の焼香
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- 僧侶の中で最も中心的な僧侶である「導師」がまず最初に焼香し、その後再び読経が始まります。
- 読経がつづく間に、喪主から順に焼香を始めます
- 大規模な葬儀では、司会者が焼香者を順に呼び上げる事もあります。
● 僧侶退場
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- 大規模な葬儀の場合、僧侶は一同の焼香がすんだころに読経を終えます。
- 僧侶は告別式に移るまで一旦退場します。
- この時、遺族、近親者など参列者は一礼して送ります。
葬儀からそのまま、告別式につづく場合には僧侶は退場しません。
● 告別式
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- 葬儀に引きつづいて告別式に移る場合には、僧侶の退場はなく、読経中に一般参列者の焼香を受けます。
その場合には、遺族は参列者の方に向きをかえて参列者に焼香の礼を返します。
- 大規模の葬儀の場合には、葬儀の終了後、10分くらい休憩したのちに、再び遺族は祭壇前に着席し、僧侶を迎えて告別式を行います。
- 僧侶の読経が始まったら、一般参列者は順に焼香を行います。
- この間、遺族は参列者一人一人に黙礼をします。
- 参列者全員の焼香がすむと、僧侶は読経を終えて、退場しますので、一同は頭を下げます。
- この後、司会者が閉式の挨拶を述べて告別式は終わります。
● 最後の対面
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- 告別式が終わると、親族による故人との最後の別れを行ないます。
- 葬儀社の人によって棺が運ばれ、棺の蓋が開けられ、別れの対面が行われます。
- 喪主、遺族、近親者および、故人と特に親しかった人々によって、対面が行われます。
この時、祭壇に供えられていた花を、各人の手でご遺体の周りに飾る「別れ花」をします。
- 対面が終わったら、納棺の際に故人愛用の品などをいっしょに納めます。
ただし、燃えない物や、遺骨をよごすおそれのあるようなものは入れる事ができません。
● 釘打ち
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- 最後の対面がすむと、葬儀社の人によって棺のふたが閉じられ、「釘打ち」の儀が行なわれます。
- 釘打ちは、喪主から始め、遺族、近親者、友人と故人とゆかりの深い順に、1人が2回、こぶし大の石を使って軽くトントンと打ちます。
- この小石は、三途の川の河原の石を意味するものといわれ、無事に冥途にたどりつけるように願って打ちます。
● 出 棺
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- 棺の蓋が閉ざされたら、親族や故人の友人などの男性が、ご遺体の頭のほうを先にして運び出し、霊柩車におさめます。
- この時、遺族も棺について行きます。
- 喪主は、棺の前に位牌を胸に持って立ち、次の者が遺影を持ちます。
- 喪主が高齢や病気などの理由で火葬場に行かない場合には、喪主の次の順位の遺族が位牌を、その次の者が遺影を持ちます。
- 以下、骨箱、供花などを分け持って、棺の後に続きます。
葬儀・告別式
葬儀とは故人の成仏(仏式の場合)を祈るための儀式であり、告別式とは故人の霊に別れを告げる儀式です。一般的には、葬儀には遺族、近親者、それに親しかった友人、知人が参列するものと考えられています。
したがって、それ以外の会葬者は告別式に参列すればよいとされています。
葬儀・告別式の会葬者の服装
遺族や近親者、世話役代表(葬儀委員長)は、正式の喪服を着用しますが、その他の一般弔問客は略式の喪服でよいでしょう。
略式の揚合、男性はダークスーツに黒ネクタイ、黒の靴下でよいでしょう。
女性の場合、黒のワンピースかツーピース。和装なら黒の一つ紋の着物、帯やハンドバックなども黒の物を用います。アクセサリーはつけませんが、真珠ならかまいません。
喪章は、遺族が喪に服している事を示すものですから、世話役などで喪家側の人間としてお手伝いする場合にはつけますが、一般の会葬者はつけません。
● 女性の喪服の注意点
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葬儀、告別式は、故人への別れを告げる儀式であると同時に、たくさんの人が一定の場所に集中して営まれます。
そのため故人を供養するのにふさわしい内容にするとともに、時間どおりに進行するように段取りをしなければなりません。
そのためには、事前にこまかい打ち合わせをして、落ち度のないように準備をする必要があります。
● 学生、子どもの服装
- 学生は、男女ともに制服が喪服となります。
なければ黒または地味な服装(グレーなど)に、腕章を右腕に巻くか胸に喪章かリボンをつけます。
靴は黒、靴下も黒か白いものを使用します。
また真夏には、男子なら白のシャツに黒ズボンと黒靴、女子なら白のブラウスに黒のスカート、黒靴がよいでしょう。
● 喪章・数珠
- 喪章は、喪家側の人がつけるものです。
したがって喪家側でない場合はつける必要はありません。
数珠については、仏式の葬儀で見かけることが多いですが、かならず必要というものではありません。
持参するのであれば、宗旨と作法を確かめて、それに合った数珠を用意して下さい。
香 典
香典は葬儀に出席する場合に、香典袋に入れて通夜、あるいは葬儀の時に持参します。
香典金額については、身上の者に相談したり、あるいは最新のデータなどを取り寄せて参考にするケースが多いようです。
● 香典を持参する方法
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地味な色の袱紗(ふくさ)に包むようにします。
袱紗は、直接ポケットやバッグに入れても、香典袋が折れたりしわにならないようにするためです。
台付袱紗で台の色が赤いものは慶事用ですので、気をつけましょう。
袱紗に包むときは、つめを左側にして中央に香典をおき、右、下、上の順にたたみます。
● 差し出し方
- 香典は袱紗に包み、受付で表側を上にして開きます。
そして香典は表書きの名前を相手側に向けて差し出します。
その後、会葬者名簿に記帳します。
通夜などで受付が設けられていない場合には、祭壇に供えます。
その際香典の表書きはこちら向きになるように置きます。
通夜と葬儀両方に出席する場合には通夜に持参します。
● 香典袋の折りたたみ方
- 香典袋を折る場合には不祝儀袋ですので、左手前に折るのが正式です。
裏面は上側が下の折られた紙の上に重なるようにします。
香典に用いるお金は、あらかじめ準備してあった事を嫌い、一般的に使用したお札を使いますが、新札を使う場合は、一度折り目を入れて用います。
● 香典の郵送
- 香典を郵送されるときは、現金を不祝儀袋に入れ、お悔やみ文を同封して官製の現金封筒に入れて送ります。
参 列
葬儀に参列する場合は、定刻の10分くらい前までには、式場に到着するようにしたいものです。
特に葬儀の場合は、火葬場の時間が決められていますので、遅れることは許されません。
式場に着いたら、受付で署名をします。
この時、まだ香典を渡していない場合は、ここで渡します。
受付がない場合は、香典や供物は、焼香の時に自分で祭壇に供えます。
● お悔やみの言葉
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お悔やみは簡潔に述べます。一般的には「このたびは突然のことで、まことにご愁傷さまでした」という程度の、短いものにします。
参列の際に、遺族に会えなくても、そのまま帰っても失礼にはなりません。
● 焼 香
- 仏式の場合、読経の後、弔辞の朗読、弔電披露と続き焼香となります。
焼香の順番は、喪主、遺族、近親者、友人、知人の順に行います。
● 告別式の参列
- 告別式では、時間内に焼香をすませればよいので、開始時間よりも、やや遅れて行ってもかまいません。
注意する点は、スムーズに焼香を行うことです。
● 会葬後
- 帰宅したら、玄関で清めの塩を振りかけます。
塩は葬儀場で渡されたものでもいですし、家庭にある食塩でもかまいません。
胸や足元に、ひとつまみ程度、振りかければいいでしょう。
職場に葬儀場より直接戻る場合は職場の入口などで、行った方がいいでしょう。
服装はそのままでもよいですが、黒ネクタイは普通の物に替えましょう。