人の命に限りがある以上、どなたのご家庭でも必ずいつかは行うのが 『御葬儀』 です。
その時になって何も知らない、何も心構えがないと慌てたり、
また周りに迷惑をかけたりしがちです。
生を真剣に考えるという事は 「死」 を考えるという事にも通じるものです。
葬儀後の後始末
葬儀が終了するまでは、世話役の人たちが作業を進めてくれますが、葬儀が終った後の雑務は、 遺族自身がしなければなりません。
葬儀はあと始末まできちんと行いたいものです。
何から手をつけてよいかわからないとは思いますが、急ぐものから片づけていきたいものです。
● 引き継ぎ
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- 世話役からは葬儀がすみしだい、事務を引き継がなければなりません。
できれば、葬儀当日の精進落しの前か、その日のうちには引ぎ継ぐようにしたいものです。
- 会葬者名簿、弔問客の名刺、香典や供物・供花の記帳簿、弔辞や弔電などを受けとり、会計の精算など、葬儀に関するいっさいの事務を引き継ぎます。
- 遺族側の人が知らないうちに、世話役の人や手伝いの人が支払いを立てかえてくださっている場合がありますので、帳簿の引き継ぎの際に立てかえ分を精算しておきます。
● 部屋の片づけ
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- 遺骨を安置してある部屋は、忌明けの日までそのままにしておきますが、他の部屋は元どおりにします。
- 床の間に掛け軸をかけたり、額や飾り物などを元の位置に戻したりします。
しかし、葬儀後しばらくの間は、後から不幸を知った方々が弔問に訪れますから、派手な飾り物などは当分の間は控えたほうがよいでしょう。
● 什器などを片づける
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- 自宅のものだけでは間に合わない什器類で、隣近所からお借りした食器やお盆などがあれば、挨拶とお礼を述べて返却します。
- 仕出し屋の食器類などが残っている事もありますので、確認します。
- 町内に貼った道案内の標示紙などは、全部取り外します。
● あいさつ回り先
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- 喪主は葬儀の翌日、または翌々日のうちに、お世話になった先に挨拶に出かけるのが普通となりました。
- 挨拶に回る先は、僧侶、弔辞をいただいた方、葬儀に際してお世話になった世話役代表や各世話役、故人や喪主の勤務先、隣近所や町会の世話役などです。
● 故人の勤務先
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- 故人または喪主の勤務先では、まず直属の上役に挨拶をします。その後、葬儀でお世話になった人たちなどにも挨拶をします。
- 故人の職場だったら、この時に故人の机やロッカーの中を片づけ、私物は持ち帰るか処分していただきます。
会社や役所では退職金や給与の精算もあります。
初七日法要と納骨
火葬した遺骨は自宅に持ち帰り、「あと飾り」の祭壇に安置します。その後「還骨勤行」「初七日法要」そして精進落しを行ないます。
● 遺骨を祭壇に安置する
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- 家に入ったら、喪主は骨箱をあと飾り壇に安置して、遺影や位牌を飾ります。
- 祭壇にはそのほか香炉、燭台、生花、供物、水などを供えます。
- このあと、僧侶に還骨勤行の読経をしていただき、一同が焼香します。
- あと飾りの祭壇は、四十九日の忌明けまで飾り、その間は遺骨も仏壇の中に入れません。
● 清めの塩
- 火葬場や墓地から戻り家に入る時には、まず塩と水で体を清めます。
- 清め方は、家に残っていた手伝いの人が、ひしゃくで水をすくい、帰宅した人に両手にかけ、手ぬぐいを手渡します。
- 次に塩をとって、正面向きで胸や背中に塩を一振りしてお清めを終わります。
最近では「清め塩」だけのようです。
● 精進落し
- 初七日法要の後、僧侶の方をはじめ、葬儀の手伝いなどでお世話になった人たちに、酒や料理をふるまう会食の宴を設けます。
この時の料理は、魚や肉なども出しますので「精進落とし」といいます。
これは葬儀関係者の労をねぎらうための宴という事になります。
- 精進落としの宴では、僧侶や世話役などが上座にすわり、友人、近親者などがそれに続き、喪主や遺族は末席に着きます。
- 料理には、軽くビールやお酒を出します。
喪主や遺族は、関係者の席を回り、一人一人に酒をすすめて、労をねぎらいます。
- 宴を開かない場合には、折詰めを配ったり、お金を贈って精進落しの宴に代えたりします。
- 僧侶をお招きできない場合には、通夜ぶるまいの時と同様に、「御膳料」を包んで差し出します。
葬儀のあとに「初七日法要」を行なう事が多くなって来ました。
一方納骨は、四十九日の忌明け法要の際に行なう事が一般的です。
● 納 骨
- 先祖代々の墓がある場合には、すぐにでも遺骨を墓に納めることが出来ます。
しかし納骨は、四十九日の満中陰が過ぎた時に行なうことが多いようです。
この時には僧侶に読経を頼みますが、これを納骨法要といいます。
● 納骨の順序
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お墓に納骨する場合、骨壷のまま納める場合と、骨壷の中の遺骨だけを納める場合があります。
これは墓石の内部の構造によって異なります。
法要に際しては、線香と供花を供え、次に僧侶による読経、焼香を行ないます。そして納骨を行います。
なお、公園墓地などの場合、法要の終了した後、供物を持って帰る事がエチケットとなっています。
● 埋葬許可証
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火葬が終わった後、すぐに納骨する場合はともかく、四十九日まで納骨しない場合には、「埋葬許可証」は骨壷と一緒に骨箱に入れておくと安心です。
いよいよ納骨する場合、寺院の場合には住職に、公園墓地の場合には管理事務所に、「埋葬許可証」を提出します。
会葬の礼状は告別式が終わった後、受付で会葬者一人一人に手渡す事が多くなりました。
本来ならば喪主が一人一人会葬のお礼をのべる代わりに、礼状によって行う習慣が定着しています。
服 喪
喪とは人の死後、親族が家族の死を悼んで、特定の期間遊びや笑いをつつしみ、また酒肉を断って家に謹慎することをいいます。
しかし現在では葬儀・法要以外は喪服を脱ぎ、普段と同じ生活をするようになりました。
しかし喪中はできるだけ派手なレジャーや遊興を避け、結婚式の出席や神社の参拝、年始参りも控えるのが普通です。
● 忌引期間
- 官公庁服務規定によると、忌引期間は次のように定められています。
配偶者 | (10日) |
父 母 | (7日) |
子 供 | (5日) |
祖父母 | (3日) |
兄弟姉妹 | (3日) |
孫 | (1日) |
叔父・叔母 | (1日) |
● 喪中の年賀はがき
- 喪中には年賀状を出さず、年賀欠礼の案内はがきを12月のはじめに到着するように出します。
年賀欠礼は、故人と年賀状を交換していた人を忘れないようにします。
また「喪中につき年賀欠礼します」だけの文面ですと、誰が亡くなったのかわかりませんので、死亡者名も明記しておきます。
葬儀後の諸手続き
人がお亡くなりになると、その人がこれまで契約していたさまざまなものの名義変更が必要となってまいります。
とくに故人が世帯主であった場合、土地や住まいの名義変更も遺産を相続される人によって行わなければなりません。
また生命保険や年金の手続き、さらに公共料金の名義変更もあります。
葬儀後に必要と思われる手続きの主なものを以下にあげておきましたので、参考にしてください。
各種手続き |
手続きする場所 |
備 考 |
埋骨許可証(火葬証明書) |
市区町村役場 |
納骨の時、寺院に提出します |
葬祭費の受取り手続き(国民健康保険) |
市区町村の保険年金課 |
他の名目で補助金等が支払われる場合もあります |
埋葬費の受取り手続き(社会保険) |
会社の総務課、保険事務所 |
他の名目で補助金等が支払われる場合もあります |
医療費控除による税金の還付手続き |
所轄の税務署 |
年末調整でおこなう場合もあります |
国民年金受取りのための裁定請求 |
住所地の市区町村の国民年金課 |
死亡者、受取人により通用年金がかわります |
死亡した者の所得税の確定申告 |
所轄の税務署 |
源泉徴収している場合、勤務先から手続きします |
相続税の申告 |
所轄の税務署窓口へ |
税務署に申告用紙があります |
銀行預金・郵便貯金の引き出し |
各銀行・郵便局 |
金融機関では相続手続完了まで支払いを停止します |
生命保険金の受給手続き |
生命保険会社 |
勤務先で加入している保険などがあれば必要書類を整えます |
電話の名義変更・解約 |
各請求先 |
電話帳の名前の変更もおこないます |
NHK・電気・ガス等の名義変更 |
各請求先 |
印鑑、通帳、領収証の控えを持参します |
借地・借家の契約証の書き換え |
家主・地主 |
あらためて契約書を書き換える場合もあります |
自動車税の納税義務消滅の申告 |
県税事務所 |
新しい所有権に納税義務がうつります |
運転免許証の返却 |
警察署(公安委員会) |
更新手続きをしなければ自然消滅となります |
クレジットカード脱会届け |
クレジット会社 |
カードの返却と、未払分の精算もおこないます |
所有権移転登記 |
法務局・他 |
相続財産のうち登記の必要なものをチェックします |
株式・社債・国債の名義変更 |
証券会社・信託銀行 |
手続きは各社で異っています |
雇用保険の資格喪失届け |
会社→職業安定所 |
失業保険受給中の場合は遺族に手当があります |
労災による死亡の遺族補償年金手続き |
所轄労働基準監督署 |
労災保険からでる年金 |
相続同意書・遺産分割協議書作成 |
司法書司など |
銀行預金等いろいろな財産相続手続きに必要です |
貸付金・借入金の権利移転の通知手続き |
貸付、借入先 |
借金の場合には、限定相続等の手続きもあります |
扶養控除異動申告 |
勤務先 |
年末調整や会社の家族手当支給と関係します |
非課税貯蓄の死亡届け |
銀行、証券会社、郵便局 |
相続人が、あらためて課税扱、非課税扱の申告をします |